鞠莉(16)「留学してそろそろ半年ね……」
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29:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 12:45:27.84 ID:nZJI/gt30


ことりさんはじんわりと潤んでいた目を慌ててこすっている。

なんだか、可笑しな気分。

だって、ことりさんと会ったのはこれでたったの2回目なのに。


鞠莉「……本気なの?」

ことり「うん」

鞠莉「……ほんとに、そう思う?」

ことり「うん、もちろん」


間に合うだろうか。

今からでも私はあの頃の「小原鞠莉」に戻れるだろうか。

失敗したと思っていた。

私はその程度だったんだと、そう自分を納得させていた。


ううん、思い出すんだ。

あの頃、私はずっと笑顔だった。

果南だってダイヤだって、私が笑えば嬉しそうにしてくれた。

私は素敵だった。果南もダイヤも素敵だった。「Aqours」は最高だった。


そうだ、なのに、それなのに。


鞠莉「……」

鞠莉「あの時は、失敗だった」

ことり「うん」


気づけば、言葉が零れ落ちていた。

短い返事で、ことりさんは私の言葉を捕まえてみせた。

ずるずる、ずるずる、後から後から溢れ出る。




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