22:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 12:39:52.75 ID:nZJI/gt30
*
ことり「ん〜! 甘ーいっ!」
鞠莉「……さすがね」
ケーキを一口頬張るたびに、ことりさんはうっとりと頬に手をあてた。
一つ一つの所作が似合いすぎている。
ことりさんのおススメだというケーキ屋は、駅から少し離れた静かな通りに面していた。
セピア色の壁紙に、少し厚い紙に覆われたライト。
ほどよく色づいた洋菓子は、表通りのデパートのものよりも幾分か毒々しさが和らいでいた。
ことりさんは、確か普段はパリに住んでいると言っていた。
ニューヨークに来てから、こんなところまでお店を開拓しているのだろうか。
ことり「あ、そういえば〜」
お話がしたいと言いながら菓子を食べ続けていたことりさんは、ようやくかちゃりとフォークを置いた。
そして開口一番、爆弾を放り投げてきた。
ことり「鞠莉ちゃんってスクールアイドルやってたんだね! 言ってくれればよかったのに……」
鞠莉「……っ」
鞠莉「……ちょっとだけよ」
ことり「途中で留学に?」
鞠莉「そうなるわね」
ことり「そっかぁ……」
少しバツが悪そうな顔で、ことりさんはうんうんと頷いている。
鞠莉「私、ことりさんに school idol のこと話してないわ」
ことり「あ、ごめんね、気になってつい……。今の時代、動画とかたくさんあるでしょ? Aqours だっけ」
鞠莉「え、ええ、そうよ」
私の手は完全に止まってしまっていた。
居心地のいいはずの店内が急に冷えてきたような気がした。
息が荒くなる。
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