11:名無しNIPPER[sage]
2017/12/16(土) 00:38:15.91 ID:hko7hO0B0
顔をこっちにむけて桃子ちゃんは、わたしに答えを促す。グロスを塗ったリップが何か言いたげに開き、結局閉じた。
口にしたかったのは「どうするの?」かな、多分。
「今日まではさ、本気だったよ。本気で狙うつもりだった。でもさ……」
12:名無しNIPPER[sage]
2017/12/16(土) 00:38:56.65 ID:hko7hO0B0
そうだったのだ。
わたしが琴葉さんにライバル宣言をしたあの日から、じゃあ何か変わったかと聞かれたらなーんにも、これっぽちも変わらなかった。
琴葉さんはちゃんとお化粧することが増えたし、お料理だって美奈子さんに教わって、あの人にお弁当だったりを作ってたりしてた。
13:名無しNIPPER[sage]
2017/12/16(土) 00:39:32.88 ID:hko7hO0B0
けれども、そんなわたしの姿はもしかしたらプロデューサーさんの目には入ってなかったかもしれない。
いや入っていても、それを琴葉さんと張り合って、とは思わなかったんじゃないかな。
ただの子供の背伸び。そう思われていたのなら心外である。
14:名無しNIPPER[sage]
2017/12/16(土) 00:41:19.16 ID:hko7hO0B0
「桃子ちゃんはさ」
「うん」
「この指輪、どうしたらいいと思う?」
15:名無しNIPPER[sage]
2017/12/16(土) 00:42:05.17 ID:hko7hO0B0
「やっぱり失礼なこと考えてない?」
親友はまたわたしの心をお見通しのようだった。
「ちがうよー。それでどうしたらいいと思う?」
16:名無しNIPPER[sage]
2017/12/16(土) 00:42:34.45 ID:hko7hO0B0
何たって私の方がお姉ちゃんなんだから、とイタズラっぽくわたしの頭をくしゃくしゃにした。
もーせっかくセットしたのにー、と思う気持ちが3割。
後の7割は、桃子ちゃん、自分とこのプロデューサーさんと同じことしてるって微笑ましい気持ち。
17:名無しNIPPER[sage]
2017/12/16(土) 00:43:25.57 ID:hko7hO0B0
「……わたしね、失恋旅行に行こうと思うの」
「失恋旅行?」
ゆっくりと、わたしの言葉を繰り返す桃子ちゃん。
18:名無しNIPPER[sage]
2017/12/16(土) 00:44:17.24 ID:hko7hO0B0
言葉にしづらい微妙なニュアンスも親友は感じ取ってくれた。
そう捨てるんじゃない、プロデューサーさんを好きだったわたしをどっかに置いていったりはしない。
それがわたしだから。それも含めてわたしだから。
19:名無しNIPPER[sage]
2017/12/16(土) 00:47:10.30 ID:hko7hO0B0
次の恋なんてどこにあるか分からない。
もしかしたらわたしの小指にあった運命の赤い糸は、どこにも繋がってないのかもしれない。
20:名無しNIPPER
2017/12/16(土) 00:48:23.16 ID:hko7hO0B0
以上です。
ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。
育ちゃん、お誕生日おめでとう!
これからもすてきな大人目指して頑張ってね!
21: ◆NdBxVzEDf6[sage]
2017/12/16(土) 01:27:14.41 ID:qYhlgHTf0
あの話か、リアルな感じいいね……
乙です
>>2
中谷育 Vi/Pr
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