85: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 01:11:14.95 ID:Qezuh/qr0
「…………ふん。落ちるとも怖がらんで飛んできおったか。その根性だけは褒めてやってもよか」
「うぅ……!」
「大丈夫だよ蘭子ちゃん、私がついてるから……!」
蘭子ちゃんは私にぴったりくっついて、両手両足でしがみ付いてきます。
相手は余裕みたいです。もうブリッツェンちゃんには追いつけないと思っているんでしょう。
「ばってん、向こうはもうこれで詰みたい。球泉洞スピリアルを呑んだ茶釜エンジンに勝てるもんはおらん」
座敷の隅には、お父さんとお母さんの眠る小さな檻。
そしてすぐ隣には……。
「菜帆ちゃん……!」
縛られたまま、やっぱり眠らされているようでした。
耳と尻尾は出ているけれど、人間の姿のままです。
どうしよう、どうしよう、考えなきゃ……!
「なんば固まっとるとか。どうせ向こうはもう勝てん、こっちゃん来んか」
「……っ!!」
と、蘭子ちゃんがずいっと前に出て、私を強く抱きしめます。
ああ……そうか。
蘭子ちゃんがくっついてくるのは、怖いからじゃなくて。
私のことを、守ろうとしてくれて。
そのことが、逆に勇気をくれました。
蘭子ちゃんの手に手を添えて、相手をきっと睨み返して。
私は、一番知りたかったことを問いただします。
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