65: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:56:37.47 ID:Qezuh/qr0
「ふっ……ふふふっ……ふぁーははははは!! 引っかかりよったな人間が!!」
「あぁ?」
「俺らがなしてずっと空ば飛んどったか、知らんかったと見えるのう!!」
座敷の縁から顔を突き出して、おっさん狸――海老原さんの伯父だろう――が舌を出した。
ご丁寧に仲間の狸をメガホンに変化させてまでのご高説である。
「その間、下で何が起こるか考えとらんかったとやろが!!
おのれらの見世物ば良く思わん狸は、海老原だけでん無かっ! あちこちん山の無頼狸にも声ばかけとっとじゃ!!
奴らは陸で待機しとる!! おのれらが空ばっかり気にしとる間、着々と準備ば進めとったとじゃ!!」
「今頃、熊本中より集めたる無頼狸が変化し――狙うは、らいぶ会場よぉ!!」
あえて空に注意を払わせて、地上に潜ませていた伏兵の存在を隠匿する。
まかり間違って空中座敷に干渉する手段をこちらが見つけたとして、「空にかかりきり」という時点で向こうの作戦勝ち。
人を良く思わない荒くれ狸共が会場に乗り込んで、セットを壊しスタッフを脅かして、みんなめちゃくちゃにしてやろう――という作戦だろう。
空と陸の二重作戦。
なるほど、まさしく狸親父の考えそうなことだ。
だが……。
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