64: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:56:07.52 ID:Qezuh/qr0
「よし、近付いてきてるぞ! このまま全速力だ!!」
「おまかせあれ〜! ブリッツェン〜っ!!」
「ブモッ!!」
全速力のソリは想像の何倍も速かった。
一晩のうちにあらゆる街を回って、良い子のみんなにプレゼントを配る為の移動手段と考えれば、さもありなん。
いつだったか、ダンボール一枚で寒さを凌ぐ全裸の少女と変ないきものを保護した時は、まさかモノホンだなどと思いもしなかった。
「――天狗の茶釜エンジンは、お酒で動く代物です。アレの中身を空っぽにしてしまえば、浮遊力を失ってふゅ〜と降下していくでしょう」
「合点承知です! ていうか詳しいですね!?」
「豊前坊様が仰っていましたので。それにしてもおいしいですねぇこの焼酎。お腹いっぱいなのに、もう一杯……♡」
「まだ飲んでるんすか!?」
叩き付けるような風圧が顔面を凍えさせる。
しがみ付いてくる美穂と蘭子を庇いながら、徐々に詰まりつつある距離を測った。
とにもかくにも、あの座敷の横につく。勝負はそれからだ。
と――――
「ふふふふ……ふっふっふっふっふっふっふっ!!」
やたら耳に響く狸親父の笑いが、向こうの座敷から届いてきた。
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