58: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:51:58.58 ID:Qezuh/qr0
―― 12月15日 午後5時 地上/熊本市街
寒いし、もう薄暗い。
九州なんだから年中暖かいだろうというのは甘い見込みで、熊本の冬はどうにも容赦が無かった。
他ならぬ地元民の美穂が真っ先にマフラーを巻いていたので、そこから察するべきだっただろうが……。
「こっからがとにかく本番だからな。みんな、いいか?」
「はい……っ!」
「魂の震える時!」
「なるがまま、どすな〜」
情報によると、空中座敷は熊本上空を優雅に回遊しているという。
借りた双眼鏡で空を見て、全天360度をぐるっと見渡す。
見渡す。
見渡す…………。
「…………いた」
「ほんとですか!?」
「うん、コタツで酒盛りしてやがる。美穂のご両親も檻の中だろうな」
「そんな……。で、でも本当に、あそこまで行けるんでしょうか?」
「天翔ける奇蹟、其は触れることすら許されぬ禁忌の花園。大いなる隔てを超えし魔術やいかに……?」
「なに、気にするな。空くらいうちのアイドルも飛んでる」
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