34: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:23:49.92 ID:TXSil8FD0
移ろいゆく人々が、燦然と煌めくネオンライトが流れてゆく。
こんな灯りは不釣り合いだ。ボクはまた逃げ出してしまったんだ。
人々はいなくなり、ネオンライトが街灯に変わってゆく。
彼女らに悪意はない、善意の行動だったのに。
いや、違うね。この善意はボクに向けられたモノじゃない。
外側のフレデリカに向けられたモノなんだ。だからボクは……
街灯すらもまばらになり、暗い海のような闇が眼前に広がっている。
こんな言い分、逃げ出した正当化に過ぎないんだ。言い訳にすらならないだろう。
彼女たちに八つ当たりをしてしまった。
暗がりに影のように立つ。
……走り続けるのは限界だ。ボクはひとりだと遠くに行くことすらできないんだね。
もう走っていないのに息苦しさは増す一方だ。
口から漏れかけた嗚咽を両手で押さえつける。そうしないと溢れてしまいそうだったから。
誰も救えない、それどころか想う者すら傷つけてしまう。そんなボクが存在する理由なんてどこにもない。
──虚無だ。二宮飛鳥なんて居なくなってしまえ。
雫は目を通る時は燃えるほど熱く、頬を伝う時は氷のように冷たかった。
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