名前はきっとスマイリー
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 18:25:27.03 ID:bHIAf+4c0
 季節が巡り始め、一巡りして、また巡ろうとするまでの話。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 18:27:26.00 ID:bHIAf+4c0
 春から始まり、冬を眺め、また春へ。
 人はそれに区切りをつけ、一年としている。
 だけど僕は何年か前のある一年を、一年とはどうしても把えることができずにいる。
 なぜなら僕の言うその一年のうち、ある一日しか、その一年を十分に象っていないからだ。
 その一日は一年として変換可能で、その逆も然りということになる。


3:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 18:28:56.24 ID:bHIAf+4c0
 また、その一日の次の日、つまりその日にとっての翌日が、
 その一日とは方向性がうって変わった別の一日になっている、
 とは必ずしも言えない、とだけは付け加えておく。
 当然と言えばそれまでだが、当然なことにわざわざ言及するということも場合によっては意味を成してくる。
 というのも、すでに僕の頭の裡では一日だったり一年だったりが縦横無尽にこんがらがってしまっているのだ。


4:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 18:29:41.60 ID:bHIAf+4c0
 とにかく。
 その一年、もとい一日は、スマイリーとの出会いの連続と、スマイリーと僕の確かな分離だった。


5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 19:20:17.11 ID:bHIAf+4c0
  *****

 冬の終わり、あるいは春の訪れ。
 僕はある人たちから古い炊飯器を譲り受けた。
 それで机の上にあった文房具や電子機器やコードや紙類をひとつところにかき集めて、取りあえず釜に入れて炊飯ボタンを押した。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 19:31:32.37 ID:bHIAf+4c0
 だから僕は炊飯器に身の回りの小物をつめこんで、スイッチを入れた。
 そうするしかなかったのだ。
 作動の効果音を聞いた瞬間、ある部分で、何かが決定的に間違っていることはぼんやりと頭の片隅をよぎりはした。
 けれど、その棚引く靄のなかにある感覚を具現する気力はもとより、その欲望さえもほとんどなかった。

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 19:39:56.72 ID:bHIAf+4c0
 スマイリーのことを想う時、僕は必ずこれらのことを思い浮かべる。

 白い気球、それを運ぶ白い渡り鳥の声、ひつじ雲、ポップコーン。

 今でもそれは変わらない。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2017/12/14(木) 19:43:19.05 ID:bHIAf+4c0
 青い空、無限の天蓋がはるか頭上を覆い、澄み透る空気がぱりっと調和を生み出す。
 その光景はいつも決まって穏やかな哀しみの気配に満ちている。


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