3: ◆ukgSfceGys[saga]
2017/12/12(火) 01:07:17.45 ID:80fZfBBj0
あたしは頭の中でそんなことを思いつつ、男の姿を尻目に如何にも『超不機嫌ですよ』というオーラを醸し出した。
……まあ本当のところはこの人が今日の日のためにどれだけ尽力し、師走に入ってから今日まで息つく暇もないくらいだったのはあたしが一番良く分かっている。
だから実際は『まあ仕方がないか』と思っており、それほどは怒ってはいない。
それどころか本来であれば尽力した彼を労い、感謝の気持ちを伝えねばならないところだ。
が、例えそうだったとしても今日は、今日だけはあえて怒るフリをしなくてはならない。
また他の誰でもなく、彼が彼だからこそ、あたしは怒るフリをしなくてはならないのだ。
アイドルになってから輝き始めた演技力をフルに用い、それを生粋の京女の魂であたしなりのアレンジをしてみる。
「ほ〜、Pはん流石の気遣いやなぁ〜。この時間ならいくら今日忙しいあたしでも二人っきりになれるもんなぁ〜」
「…………すまない、周子……」
なんであたしが怒るフリをしてPさんが謝っているかだって?
何故なら今日はあたし、塩見周子の誕生日なのだ。
そんでもってPさんの両手はすっかり空で、プレゼントの類が見当たらなかったのだ。
シンデレラを迎えに来た魔法使いなら魔法くらいちゃんと使ってよね。
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