98: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/17(日) 14:59:02.56 ID:Pl2TdVwXo
「じゃあ貴音ちゃん。こっちがみんなのお弁当で、
この二つが貴音ちゃんとプロデューサーさんのおやつです!」
言って、美奈子は特製五段重ねの重箱と、
それとは別に二段重ねの弁当箱二つをテーブルの上に並べ置いた。
ボリューム溢れるその量に、傍で見ていた春香が
「はぁ〜、沢山作ったねぇ」と感心したように目を丸める。
「これでも少ない方なんだよ? 今回は貴音ちゃんも一緒だって言うし、
最近はプロデューサーさんも沢山食べてくれるようになったから、ホントは十段……ううん、十三段!」
「十三段っ!? そ、そんなに重ねられるのかな……?」
「最悪、入れ物は分ければよいのです。
美奈子の手料理はまこと美味しく、それだけの価値はあるのですから」
貴音は疑うような春香の問いに微笑みながら答えると、
重箱に収まりきらなかったエビフライを口に運んでついうっとり。
「例えばこちらのえびふらい。
サクサクとした衣の下より現れるぷりぷり海老の肉の旨味。噛み切ろうとする歯を押し出すような身の弾力は、
いかに使われている海老が丁寧な処理の後に油の海に投じられたかを言葉も使わず如実に語り――」
艶やかな唇を衣の油で濡らしつつ、彼女はひょいぱくひょいぱくと余ったおかずを次々口へと詰めていく。
貴音の見ている者を気持ちよくさせるそれは見事な食べっぷりに、隣で眺める春香たちも自然と頬をほころばせ。
「あ、やだやだ全部食べないで〜。私も美奈子ちゃんのおかず食べたーい!」
「大丈夫だよ春香ちゃん! そんなこともあろうかと――」
ねだる春香の眼前に、美奈子がビーフンやシュウマイ、春巻きなどを山盛り載せた大皿を取り出した。
「わっほ〜い! 出発前の腹ごしらえも、ちゃーんと準備してますよー♪」
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