30: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/10(日) 07:45:56.50 ID:sgFcYz010
言って、プロデューサーが右手で自身の頭をポンと叩く。
するとPヘッドはゼリーのように軽く揺れ、彼のその手を取り込むように中へと飲み込んだ!
次の瞬間、「痛たたたっ! コイツ、宿主の腕を噛むんじゃない!」と悲鳴を上げるプロデューサー。
そのやり取りを唖然と見つめる百合子に向けて春香が微笑みながら言う。
「百合子よ、晴れてお主も我のしもべである。これよりは新たに宿した力をもってして人間共に混沌と恐怖を与えるのだ」
「新たに宿した……それ、まさかっ!?」
春香の笑う意味を察して百合子はサッと青ざめた。
自身が目を覚ました時のプロデューサーの反応とその後に彼が言った言葉。
思わず頭へと伸ばされた手が異質な何かに触れて硬直する――。
「やだ、これ、えっ? ええぇっ……!?」
それはまさしく羽であった。しかし鳥や昆虫のそれとは似ても似つかぬ形をした……例えて言うならそうそれは、
まるでコウモリが持つ羽のような二枚の被膜が百合子の側頭部、耳の少し上の位置から外へと飛び出していたのである。
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