3: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/12/06(水) 21:01:11.44 ID:BdHnp9Da0
「春香、だ、大丈夫か?」
そんな彼女にいの一番。声をかけたのは担当するプロデューサーであった。
男はしゃがみ込んだ春香に駆け寄ると、その立ち上がりを助けるために手を差し出す。
さらに彼の後ろから心配そうな視線を送るのは、同じアイドル仲間の七尾百合子。
「す、凄い音がしましたけど、救急箱とかいりますかねっ!?」
「いや、顔を擦ったりはしてないな。……しかし、頭を強く打ったから――」
その時である。不安そうに答える男の手を春香がぎゅっと握りしめた。
プロデューサーも百合子へと向けていた顔を眼下の少女へサッと戻す。
春香がゆっくりと立ち上がり、胸に抱えていたイベント用の衣装を男の胸へと押し付ける。
「は、春香……?」
少女の名前を口にした男はどことなく戸惑っているようであった。
何がとハッキリは言えないが、どんがら以前と以後において、
目の間に立つ彼女の雰囲気が別人のように違って見える。
そんな男の視線を受けながら、春香は無言で乱れた服装を正すと静かに百合子の名を呼んだ。
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