93: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/01/23(火) 10:34:59.15 ID:Ya1udsl30
軍師「お前のような腑抜けに兵は務まらん」
勇者「まぁ……便所掃除も素晴らしい仕事だよ。集めた糞は肥料になるし、敵に城を攻められた際、足止めとしても使える」
これまで自分がやってきた努力は何だったのか。
二人の言葉を思い出すたびに、悔しさが腹の底で渦を巻く。
便所掃除「はは……どこが素晴らしい仕事だっつの」
一日に数回、街中の家々を訪ね、便所から糞尿を汲みだす。
糞尿の入った桶を荷車に乗せ、肥溜めまで運ぶ。
町の付近を流れるアムダリヤ川にぶちまけてしまうのも処理方法の一つだったが、軍師が許さなかった。
アムダリヤ川は、バルフの民にとって貴重な水源だ。
風呂、炊事、洗濯。生活の基本となる様々なことに用いられる。
糞が混じれば気分の問題だけでなく、感染症を引き起こす恐れもあるのである。
便所掃除「魔王が暴れていた頃だったら、俺は兵士として戦地に出撃できていたのか?」
異形の者であれば、躊躇いなく突き殺せる。
相手が人間だったからだ。二十にも満たない子供だから、情が優先して殺せなかった。
しかし、勇者軍にいる以上、人間同士の戦いは免れない。
勇者がパーティーを組んで魔族と対峙する構図は、もう過去の遺物なのだ。
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