88: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/01/22(月) 10:32:58.02 ID:H4KAurkc0
便所掃除は、王都アルマリクから派遣された駐屯兵300名の一人だった。
他の怠け者と違い、それなりの鍛錬を積んでいる。
全て、虚飾と謀略に満ちた貴族の世界から抜け出すためだ。
腹を割って話せる、本物の友を得るためだ。
毎朝王都の周りを走り、昼は書見、夜は槍と乗馬の訓練。
騎馬兵になるための練習を隙間なく詰めた。
そして念願の王国騎馬隊に所属され、バルフの防衛につくよう指示が下された。
はずだった。
軍師「お前の仕事は便所掃除だ」
バルフに到着し渡されたのは槍ではなく、糞尿を汲み取るための柄杓だった。
怒りに我を忘れ、軍師の胸ぐらをつかんだ。
血が滲むような努力の末、やっと騎馬隊の一員として認められた。
なぜよりによって、人間の下の始末をせねばならないのか。
机に座っているだけのお前に、何が分かるのか。
軍師は一人の男を呼んだ。
齢16、7の少年。
身体の線がほっそりしていて、風が吹けば飛んでしまいそうだった。
その割に、瞳には体躯に似合わない強い光が宿っている。
256Res/223.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20