勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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82: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/01/20(土) 13:11:25.22 ID:/CUsXBBs0
〜翌朝〜

先代勇者の首と手足が盆に乗って、卓の上へ運ばれた。
蠅が飛び交っている。どこに卵を産み付けようか、迷っているかのようだ。
腐りかけた肉の臭いにつられて、野犬も集まってきた。
その野犬を、そばに立つ兵が棒で追い払う。
あくまで晒し物、見せ物であるため、喰い荒らされたりしては困るのだ。

女「飲食店の前で死体を晒すかね、普通。あたしには勇者様の感性が分かりかねますよ。ねぇ、お頭」

女が吐き捨てるように言った。骨付き肉を掴む右手の指には、宝石の指輪がずらりとはまっている。
尖がった鼻や日に焼けた褐色の肌からして、出身地は南西の方であるのだろう。

男「よく見ておけ。人は死んだら魔族に化けるだとか、魂が抜けて天に昇るだとか、いい加減なことを言う輩がいる。そんなのは全部嘘ッぱちだ。何も無くなる。俺らが今喰ってるメシと同じ、ただの肉になるんだよ」

お頭と呼ばれた大柄な男は、ビールを豪快に飲み干した。
女と違って派手な衣装ではないものの、鍛え抜かれた肉体やもじゃもじゃの髭が人目を引く。

女「じゃあ、どっか別の世界に転生ってのも」

男「あるわけねぇだろ。ただの妄想だ」

女「なんだか、あの世に持っていけないんじゃ、いくら金をせしめても無駄な気がしますねぇ」

男「阿呆、俺らが金を奪うのは下の世代を生かすためだろうが。誰が自分自身のためと言った。さっさと喰え。鉄門に戻るぞ」

女「あーあ、収穫ナシなんて野郎共に顔が立ちやせんよ」

男「そういう日もある。いつも満たされた暮らしを送っていると、人は次第に慣れる。すると、少し生活水準が落ちただけで不平不満をぬかすようになる。面倒事はテメェも嫌だよな」

女「帰りに野ウサギ見つけたら、獲ってってもいいですかい?」

男「好きにしろ」



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