勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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55: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/01/03(水) 17:46:46.83 ID:0y33kF5p0
―1週間後―

黄金色の魚鱗鎧を身に着けた軍隊が、堂々と町を練り歩く。
アルマリクの視察団が到着したのだ。先頭に立ち案内するのは、先代勇者と軍師である。
心なしか、先代勇者の顔は蒼ざめているように見えた。

隊列の中央には、白馬に乗った赤衣の男がいる。あれがアルマリクの王だろう。
身体こそ栗鼠のごとく小さいが、瞳は猛禽のごとく鋭い。
それゆえ、体躯に似合わぬ異様な覇気を放っていた。

王の後ろを進むのは側近だ。
アルマリクの宰相として、国王と共同統治を行っている。
白い羽根つきターバンと細長い顎髭が目立つが、その特徴が霞んでしまうほど、背が高かった。
ゆうに二メートルは超えている。
人間離れした背の高さは、王と異なる不気味な威圧感を周囲に与えていた。

好奇心旺盛なバルフの民も覇気に圧されたのか、建物の陰に隠れて見物しているようだ。

魔女「視察団、やっと来たね。王と側近の凸凹コンビ。厳しい峠越えご苦労さん。ご褒美に、面白いショーを見せてあげるよ」

食堂の二階である。勇者、魔女、間諜の三人は視察団の列を見下ろしていた。
卓上の皿に、串焼き肉が六本。剣を模した鉄串は、持ち手が螺旋状にねじれている。
勇者はねじれた持ち手を掴むと、一番上の鶏肉にかぶりついた。

勇者「あっつ! 水無い? 絶対口の中やけどするわ、これ」

隣に座る間諜が、すかさず冷水の注がれたコップを差し出す。

間諜「私の、まだ飲んでないんで使ってください!」

勇者「おー、ありがとう。よしよし」ナデナデ

間諜「勇者さんの手、あったかいです……むふふふふ」

魔女「緊張感の欠片もないね、ボク達。これから町を奪うのに」

勇者「今さら緊張しても無意味だからな。淡々と仕事をこなすだけさ」


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