51: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/01/02(火) 15:58:21.94 ID:dpYftc7o0
書斎を出た。
昼間は煌々と明るい黄金の廊下も、先代勇者の像も、陽が落ちれば忽ち鉱物に成り果てる。
色を失った世界を、軍師は一人歩いてゆく。
ぼんやりと光る明かりが見えたので、軍師は像の裏に隠れた。
軍師(誰だ……?)
廊下を歩いている内に、ロビーへ出ていたようだった。
玄関口から訪れた客人を、最初に迎える場所だ。
先代勇者『急げ急げ。遅れるわけにはゆかんのだ』
軍師(やはり先代勇者殿……どこへ向かっている?)
先代勇者が持つランタンの動きを見守る。
昨晩と同じく、彼は広間の中央にある階段を足早に上っていった。
突きあたりで左に曲がる。館の西側に向かっているのだ。
軍師(目的地は宝物庫か。自分の所有物を愛でるつもりなら、人の目を気にする必要もないだろうに)
ガチャガチャと宝物庫の鍵をいじる音が聞こえる。
急に足音が増えた。高いヒールの音だ。宝物庫に何かを運び込んでいるのかもしれない。
闇商人『誰にも尾けられなかったですか?』
先代勇者『ああ。それに宝物庫は完全な防音仕様だ。間違っても我らの会話が外に漏れることはない』
軍師(壁を通して聞こえているがな……)
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