251: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/08/19(日) 10:55:00.23 ID:JbrWqG6U0
魔女「これから干戈を交えるであろう相手。王国軍の将軍。騎士、戦士、剣士について少し語っておこうか」
勇者「知っているのか?」
魔女「そりゃ、ボクも王都で働いていたからね。戦士とは魔王討伐の旅を共に乗り越えた仲だし」
ハザラ族の集落を出た後、盗賊団は鉄門街道を北に進んでいた。
勇者と魔女を、盗賊団の牙城に招待するらしい。
先頭を女盗賊が歩き、しんがりは盗賊が務める。
張りつめた空気。
客として招かれているはずが、まるで連行されているような気分だった。
魔女「王国軍には大きく分けて三つの階級があってね。五千人以上の軍を率いる将軍。千人程度の軍を率いる上級将校。そして百人を取りまとめる下級将校」
アルマリクは人材が少ない。
そのため、他国から力のある指揮官を金で引き抜いていた。
騎士もその一人である。
彼の甲冑は魚鱗鎧ではない。
薄い鉄板を繋ぎ合わせた簡素な鎧だが、従来の魚鱗鎧と比べると、耐久性は遥かに高かった。
魔女「騎士は頭が固かった。一度決めたら曲げない人でね。性格が敷く陣形によく表れていたよ」
魔女「戦士はそうだなぁ、大雑把な豪傑……かな。酒と戦のことしか頭になくて、勇者から脳筋脳筋ってバカにされてた。ふふふ」
魔女「三人の中で一番、下の管理がなっていないのが剣士。いっつも妓館に入り浸っていて、強いんだか弱いんだかよく分からない」
懐かしそうに語る魔女の横顔が、とても眩しかった。
同時に、暗澹たる思いも湧き上がってきた。
そうか、魔女は再び知己と殺し合わなければならないのか。
魔女「言ったでしょ、覚悟はできてる」
ギュッと心臓をわし掴みされたような衝撃。
かつて、自分も国に立ち向かう覚悟があると、魔女に宣言したことがある。
違う。
勇者の覚悟と、魔女の覚悟では、言葉の重みに差があり過ぎる。
魔女「よしよし。怖がらないで」
頭を撫でる魔女の手が、普段よりも冷たく感じた。
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