238: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/07/31(火) 17:32:47.70 ID:fNHxSn0F0
なだらかな丘陵の頂に上った。
戦士「あれが盾士の陣か」
眼下に広がる巨大な正方形の影。否、影ではない。
漆黒の盾を隙間なく並べているので、影のように見えるだけだ。
さらに目を凝らすと方陣の中に、八つの小さな陣が敷かれている。
その陣が互いに連携し合い、まるで迷路のような形を取っているのであった。
戦士「ああいう陣は大抵、八つの方角に入る門が分かれている。北、北西、北東、東、西、南東、南西、そして南。正しい方角を見つけねば、非常に厄介なことになる。どれが正しい門か、分かるか?」
誰もが息を飲んで、眼下に広がる奇妙な景色を見つめていた。
戦士「知らずともよい。あれは大唐国に古くより伝わる方術と深く結びついた布陣。知らない方が普通なのだ」
このような陣を張るのは、王国軍では盾士の他に誰もいない。
当の本人である盾士が、一番親密な戦士にすら陣の張り方を隠していたからだ。
誰にも分からない、霧に包まれた謎の戦法。
打ち破るのは困難だろう。
戦士「だが、狡猾な吸血鬼やリザードマンではない。人間の張る陣だ。必ずどこかにつけいる隙がある」
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