勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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234: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/07/14(土) 22:55:05.72 ID:5bdkGI0Z0
側近「新生勇者を野放しにしてはなりません! バルフ付近の村が次々と取り込まれています。軍として形が整いつつあるのです」

側近の巨大なターバンが国王の目の前で右と左、せわしなく動き回っていた。
王に仕えてはや40年。
酸いも甘いも共に経験してきたからこそ、国王の弱点が自堕落さにあることを見抜いていた。

国王「分かっておる。だが、もう少し待ってもよかろう」

側近「待つ? 何をです」

国王「秋(とき)を」

側近「勇者軍が成長するのを待つおつもりですか? 愚かな! そんなことをして万が一、王都が攻め落とされたとあっては取り返しがつかんのですよ」

国王は鬱陶しそうに溜息を吐くと、一冊の本を懐から取り出した。
表紙は山羊の皮をなめして作られたものか。題名はない。

国王「どこの誰が書いたか知らぬが、国の腐敗を書き連ねた小説だ。王都に来た商人の荷に混じっていた」

本を開く。ページをめくる。王が目を細めた。
まるで逃げ出した獲物を狙う鷹のように。
覇気が全身から溢れている。
側近はごくりと唾を飲んだ。

国王「この小説を書いた人間に、会ってみたいのう。そして、その者が苦痛に顔を歪ませながら死にゆく様を眺めてみたい。すぐに首を刎ねるのはいかんぞ」

側近「書いた人物は、勇者ではないのですか?」

国王「字を見てみろ。柔らかく、丸みを帯びている。おそらく女が書いたのだろう。それも、幼い少女じゃ」

側近「少女が!? そんなバカな……」

国王「何を驚いておる。王都の神学校にも、教養を身につけている少女は沢山いるではないか。これも、その内の一人。勇者軍め、意外と人材は豊富らしい。だが、今にこの小説の作者を捕えてみせる。少女をいたぶるのは、実に十数年ぶりだからのう」

国王は口元に嗜虐的な笑みを浮かべた。



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