勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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154: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/03/10(土) 01:20:26.25 ID:jNPZmSN30
ヒジュラ暦130年、第11月。
厳しい暑さが続いていますが、父上はいかがお過ごしでしょうか。
無事にバルフを出発できましたでしょうか。

僕は元気です。
王になるための修練に日々、邁進しております。
目付け役の白騎士殿は時に厳しく、時に優しく、剣術や書見の稽古をつけて下さいます。
おかげで学校での成績もうなぎのぼり。

先日、白騎士殿から教えて頂いたのですが、アルマリクとは『リンゴのなる町』という意味なのだそうです。
けれど、ここは右を向いても左を向いても葡萄棚だらけ。
『葡萄のなる町』に名前を変えてしまってはいかがと思ってみたり。

すみません、ちょっとくだらない話でしたね。

それから父上。
最後に、あなたに伝えておかなければいけないことがあります。
僕はいつか、貴族制も奴隷制も排して皆が平等な世の中を

王子「……ダメだ。こんなの、父上が認めてくれるはずがない。書き直しだ」

盛夏、王都アルマリク。
じりじりと太陽が照りつける廟の下。
王子は書きかけの紙をくしゃくしゃに丸めて放り捨てた。
バルフへ遠征中の国王に向けた暑中見舞いである。

王子「僕は絹の服を着ているのに、どうして町を行き交う人は麻の服を着ているんだろう」

ここ最近『どうして』が口癖になっている。
大半は『身分が違う』という理由で片づけられる疑問ばかりなのだが、王子はつい『どうして』とつまらぬ疑問を抱いてしまう。

王子「どうして身分に差があるんだろう。みんな同じ人間じゃないか」

王子はバラのように赤い髪をかきあげて、再び筆を執った。



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