116: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/02/06(火) 23:26:15.83 ID:a/tvFQ4v0
勇者「戦が、始まる」
銅鑼の音が一回、二回、三回、朝の澄んだ空気を切り裂いた。
進軍の合図だ。
対岸に集結しているテルメズの歩兵1200が部隊を横一列に広げながら、一斉にアムダリヤの激流へ身を投じる。
貴族兵士A「ヒイッ、本当に攻めてきた!」
貴族兵士B「みんな殺される……みんな殺される……」
貴族兵士C「どうか僕のことは殺さないでください見逃してください金でも何でも払いますから助けて死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないぃッ!!」
便所掃除「第一列、糞壺用意! 第二列は矢を番えて待て!」
第二列の精兵が、矢を番えた。弦を限界まで引き絞り、いつでも放てるように準備している。
便所掃除は目を細め、敵部隊を見詰めた。
テルメズ軍は既に渡河を終えたようだった。
横に広がった隊列が、今度は丸くまとまりつつある。
軽装兵の要は機動力だ。
馬が渡れない激しい川でも、険しい山岳地帯でも、何事もなかったかの如く乗り越えてくる。
便所掃除「まだだ。まだ遠い。矢の届く距離まで耐えろ」
バルフ軍の長弓がどれほどの距離を飛ぶか、便所掃除は王都で学んでいた。
長弓は威力こそ高いが、ウイグル族の使う合成弓と比べて射程が短い。
敵兵の姿がはっきり見えるまで、耐え抜くしかない。
勇者「1200人って、よく考えたら結構多いよな」
軍師「実戦に出て初めて分かる。2000人近くが殺し合うのだ。ここの牧草はしばらく、血の味しかしなくなるであろう」
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