100: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/01/27(土) 22:07:18.01 ID:lt/OPqe90
丘を下り、少し歩いた場所にその食堂はあった。
赤煉瓦を積んだだけの、簡素な二階建てのレストランである。
旗に施された刺繍は、蒼い三日月。
勇者「俺行きつけの食堂・キャラバンサライだ。飯だけじゃなく、隊商宿や郵便、妓館まで何でもやってる」
便所掃除「俺の身体……糞の臭いがするんだぞ。洗っても落ちない、烙印みたいな糞の臭い。他の客に迷惑じゃねーのか」
勇者「別に気にしなくていいぞ。この店に集まる連中は、肉体労働のキツさを誰よりも知ってる。それに―――」キィ
ガヤガヤ ワラワラ ガヤガヤ ワラワラ
厨房の熱気、騒ぎ声、肉の焼ける良い匂い、天井に吊り下がった照明から溢れ出る明るい光。
それらすべてが混じり合い、波となって、どっと押し寄せてきた。
確かにこの中では、自分も一人の客としか思われないだろう。
細かいことを気にしない、豪快な男達のオアシス。
便所掃除「わぁ……!」
勇者「退屈な茶会とは大違いだろ? 嫌な臭いも思い出も、全部ここで洗い流してしまおうぜ」
酔っ払いA「おーう! チャンピオンのお出ましだぜ!」
勇者「ようみんな、今夜も食いに来たぜ!」
酔っ払いB「食いまくって腹壊すんじゃねぇぞ? ガッハッハッハァ!」
酔っ払いC「てめぇこそ飲み過ぎで顔真っ赤っかじゃねぇか、ギャハハハハハ!!!」
256Res/223.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20