734: ◆GmHi5G5d.E[saga]
2018/01/24(水) 00:53:45.65 ID:U2Rv23+B0
頭脳以上の宝は無い。そんな事は分かり切っていた。
ロムルスも、結局のところは馬鹿だったのだ。浪漫などという存在しないものを追い求め、自ら命を絶つような真似をした。
……奴は、本当に馬鹿だ。熱に取りつかれ、夢の行方を見失い、敵に斬られる事を選んだ。
人間は熱無しには生きていられない。僕はその点賢いんだ。最低限の熱量だけで生きていける。いつもそうしてきた。熱など、疎ましいだけ。
……だから、奴の持つ夢は、眩し過ぎた。
「キミは馬鹿だ、ロムルス」
僕はいつも言っていた。言っていないと、いつか自分の世界が壊れてしまう。僕の世界はそうではなかった。いつも雨が降りしきる、闇の世界だったのだから。
「だが、私には夢があるのだ」
奴の返答はいつも決まっていた。その度に、僕はその愚直さから目を逸らした。
……本当は、僕も気付いていたのかもしれない。永遠とは、自分の夢でもあるのだと。
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