733: ◆GmHi5G5d.E[saga]
2018/01/24(水) 00:52:15.02 ID:U2Rv23+B0
夢以上の宝は無い。分かっていたつもりだった。
だが、私は自分を誤魔化していた。民こそ至高の宝だと言いながら夢を崇め、世界をないがしろにしながらローマの永遠の存続を願った。
矛盾だらけだった。私の隣に立っていた怜悧な男は、何度も私を笑った。
「キミは馬鹿だ、ロムルス」
「だが、私には夢があるのだ」
私の返答はいつも決まっていた。その度に、奴はくたびれたように首を振った。
夢など無駄だ。そう言いながら、奴は私に手を貸した。
……本当は、私も気付いていたのかもしれない。夢など、世界を壊すだけの凶器なのだと。
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