かたほうのてぶくろ【片方の手袋】〈モバマスSS〉
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21: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/11/28(火) 02:00:51.96 ID:Cjza4N/Vo

それだけの事が、私には大きな打撃だった。
ランドセルをひっくり返して、引き出しを何度も覗いて、ロッカーをバタバタと鳴らして。

 手袋がどこかいっちゃった。
以下略 AAS



22: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/11/28(火) 02:02:44.10 ID:Cjza4N/Vo

冷静さを欠いてただ座り込んでしまった私に大丈夫、と声をかけてくれた友達にお願いをして、教室中を探してもらう。

右手の側はすぐに見つかった。チョーク入れの中で、粉まみれで。

以下略 AAS



23: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/11/28(火) 02:03:15.45 ID:Cjza4N/Vo

女子たちが騒いでいるのを見かねたのか、大人しい方のグループの男の子が近づいて来て申し訳無さそうに教えてくれた。


いつもの男子たちが引き出しから手袋を盗んで、片方を何処かに隠してもう片方は新聞紙で包んで丸めて箒野球のボール代わりにしていた、と。
以下略 AAS



24: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/11/28(火) 02:03:44.39 ID:Cjza4N/Vo

そのゴミ箱には、もう新しい袋がかかっていた。


集積所は体育館の裏手。
以下略 AAS



25: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/11/28(火) 02:04:17.57 ID:Cjza4N/Vo

呆然としてクラスに戻ると、男子グループのリーダー格の子が「やりすぎだった」とかなんとか、へらへらしながら謝ってきた。

友達が先生に言いつけてくれていたみたいだったけど、先生は状況をよくわかっていないのかいつもと同じような対応しかしてくれていなくて。

以下略 AAS



26: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/11/28(火) 02:04:51.70 ID:Cjza4N/Vo

……わからない。ただ、私にはそう見えたってだけかもしれない、けど。


それが、どうしようもなく悔しかった。
以下略 AAS



27: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/11/28(火) 02:05:20.65 ID:Cjza4N/Vo

形だけの仲直りの印のつもりにか差し出された手を握りかえすことなく、
その男の子の頬を、力いっぱいはたいた。

手のひらは赤くじんじんと痛んで、それでも感情はおさまりきらなくて、
以下略 AAS



28: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/11/28(火) 02:05:54.05 ID:Cjza4N/Vo

そう言った所まではちゃんと覚えてるんだ。


……良くも悪くも、強い感情を込めた言葉は、ずっと心に残るものだよね。
以下略 AAS



29: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/11/28(火) 02:06:22.31 ID:Cjza4N/Vo

ショックで思い出したくないだけなのかもしれないけど、あの日どうやって家についたのかさえよくわからない。

その夜はただただ熱がでて苦しんで、明けた朝も学校へ行けなかった。

以下略 AAS



30: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/11/28(火) 02:06:52.73 ID:Cjza4N/Vo

熱がひくまで長いこと寝たり起きたりを繰り返して、途切れ途切れの意識の中で、
お母さんが電話ごしに、よそ行きの声……いつもより、ずっとずっと冷たい声で、静かに誰かと話しているのを確かに聞いた。

ちょっとぞわっとしたけど、多分私を守ってくれているんだろうと思うと少しだけ安心して、深く眠りにつくことが出来たんだ。
以下略 AAS



31: ◆pdkDwyOMVs[sage saga]
2017/11/28(火) 02:08:01.73 ID:Cjza4N/Vo

休日を挟んで翌週、少し早い時間に登校して先生にあの日勝手に帰ったことを謝りに行った。
クラスの女の子たちはすぐに駆け寄って来て心配をしてくれた。

大騒ぎをしてしまってごめんね、と謝ったけれど、
以下略 AAS



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