相良宗介「HCLI?」
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3:名無しNIPPER[saga]
2017/11/21(火) 19:58:26.25 ID:tuTmdYX90

「……元マフィアに警察官に日本の自衛官。おまけに少年兵……個性豊かな面子だなぁ、おい」

「この砲兵上がり、姐さんと名前似てますね」

「FBIのブラックリスト入り? こいつは一体何をしでかしたんだ?」 

 一通りの感想が尽きるのを待って、メリッサは手の中のレーザーポインターをスクリーンに照射した。
 赤い光点が二つの人相を示す。白人の壮年男性と、眼帯をした黒髪の女性。

「こいつら全員、実戦経験豊富で優れた兵士だけど、その中でも特に注意すべきなのはこの二人ね。
 ひとりは見ても分かる通り、デルタ出身よ。レームブリック元少佐。数々の困難な作戦を成功させた実力者で、
 過去にうちの人事もSRTにスカウトしようとしてたみたい。フラれちゃったけどね。
 女の方の名前はソフィア・ヴェルマー。こっちも元少佐。正直、私的にはこっちのが化け物ね」

「デルタよりもか? 確かにこの年齢で少佐というのは凄まじいが……」

「大星海公司。覚えてるでしょう? 少し前から情報部がマークしてた、きな臭い貿易会社」

「ああ……北中国の息が掛かってたっていう。確か専務が暗殺されて、勢力が弱まったんだよな?」

「あとで判明したんだけど、その暗殺をほぼ単独で成し遂げたのがこの女よ。
 火器を使わず、武器はナイフ一本。おまけに標的のいた軍事拠点に真正面から突っ込んで20人は殺してる」

 メリッサの一言に、今度はざわめきではなく沈黙が落ちた。

 それがあまりにも現実味のない戦果だったからだ。世界中の特殊部隊から、さらに篩にかけて精鋭を集めたSRTの中でさえ、同じことを出来る人間がいるかどうか……というところだろう。

「詳しい情報は資料を配るわ。まあとにかく、この二人には要注意ってことで――」

「いいや、もうひとり注意すべき人物がいる」

 口を挟んだのは宗介だった。SRTの中でも決して冗談の類を口にしない堅物に、全員の注目が集まる。物怖じもせずに、宗介は続けた。

「ジョナサン・マル。この少年兵も手ごわい相手になるだろう」

 宗介が指さしたのは、褐色の肌に白い髪を持つ少年の写真だ。年のころは宗介と同じか、ひとつふたつ下というところか。

 メリッサは首をかしげた。この無愛想な、だがSRTの中でも屈指の実戦経験を誇るこの男が言うほどの相手であるのか?

「その子は少年兵上がりだったから正規の雇用形態じゃないみたいで、情報はほとんどなかったんだけど……なに、知ってるの?」

「肯定だ。数年前、俺がミスリルに入隊する前に一度、奴の所属する部隊と交戦したことがある。敵の得意とする山岳部での夜間戦闘だったとはいえ、こちらは大打撃を蒙った」

「ふーん、この業界も広いようで狭いわよねー……ん? でもなんでそれで相手の名前が分かるのよ?」

 宗介の目線がやや下に落ちる。過去を回想するように、結ばれた焦点は遠い。

「直接聞いたからだ。敵部隊の中でも一際手練れだった奴を食い止める為に、俺は無理やり肉薄して白兵戦を仕掛けた。
 体格は俺の方が良かったからな。何とか組み付いたところまでは良かったのだが、運悪く俺たちはほとんど崖のような急勾配を転げ落ちた。
 俺は接近するまでに二の腕に一発貰い大量出血し、ジョナサンは転げ落ちた時、下半身に酷い打撲を負った。
 装備を破損・紛失し、部隊とは連絡が取れない状況で、おまけにその地域は野犬が出てな。
 あのままでは二人とも死ぬということで、俺達は一時的に協力し、どうにか麓の村まで落ち延びた」

「そりゃまた壮絶な……で、それから?」

「いや、そこで別れたからな。ジョナサンは基地に戻り、俺も雇われていた部隊に復帰した。
 ほどなくして奴は別の基地に移ったらしく、それを機に俺達は再攻撃して陣地を奪えたが……当時から既に、奴は一流の兵士だった。
 あれは生まれ持ったセンスだろうな。俺が山岳戦で相手をしたくないと思ったのは、俺を拾ったあるアフガンゲリラの戦士を除けば、あいつくらいのものだ」

「なら、気を付けた方がいいでしょうね。今回、仕事場が仕事場だし」

 メリッサの声と共に、再びスクリーンの映像が切り替わる。

 映し出されたのは、ソ連西部にある山脈の地図だった。


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