7:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 19:39:01.38 ID:dPfg/dp20
「一番平和に馴染めなかった貴方が、最後まで残るなんてね……」
「ああ……」
「まぁ、どうせすぐ貴方も終わるわ。それまで、私がいなくてもしっかり生きなさいな」
「ああ……」
「大丈夫なのかしら?これからは貴方、一人よ。
子供達や孫に迷惑を掛けるのは、私が許さないからね?」
「ああ……」
わかっている。
そう、一番平和な世界に貢献したはずの僕は、誰よりも平和と無縁だったのだ。
大体、世界だの平和だのと、若い頃に戦ってきたのはそうするしかなかっただけなのに。
戦い続けて、いつの間にやら僕は誰かの希望になり果てた。
ああ、それは確かに僕が選んできたことだけれど。
皆の想いが僕の力となったのだけれど。
世界を救う意思を学び、平和を選ぶ尊さを知り、戦うことでその一手を担うことが出来た。
勇者になった世界で、僕は確かに生きることを決めたのだ。
なのに、平和になった世界が僕にとって生き辛いとは皮肉なものだった。
そんなことを、かつてアイツに指摘されたこともあったか。
『お前は戦いの中でしか生きられない!』
僕はあの言葉に否定で返せたのか、どうだったか、もう思い出せなくなってしまった。
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