16:名無しNIPPER[saga]
2017/11/20(月) 19:52:47.38 ID:dPfg/dp20
「……こうやって、最後に文句を言える分、私は幸せかしらね」
「ああ……」
「本当はもっともっと貴方を責めたい所ですけれど。
どうにも子供が出来てからは、良い母親になるよう努めていましたからね。
おかげで、子供に嫌な所を見られずに済んだわ」
それは、どうだろうね。
君は恐らく、僕以上に周りに怖がられていたと思う。
何せ、伝説の勇者である僕が君のことを一番怖がっていたのだから。
彼女を怒らせないように。
そうやって、子供らに言い聞かせられたのは僕の功績だ。
本当に苦労した。
特に料理にだけは触れるなと、守り通せたのは僕だけの力だ。
怒らせれば魔王より怖いと噂されているのを、彼女に決して知らせないように。
全て事実なのに、隠して生きることが出来たのは僕のおかげだ。
皆が察してくれたのには安心した。
彼女は最後まで良い母親で居られただろう。
子供には苦労掛けた。それも知らずにいい気なものだ。
とはいえ、孫には良い祖母として思い出に残るだろう。
孫にだけは、僕も頼りない祖父だなどとは記憶に残したくないものだ。
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