296: ◆Bc4KZX4MNU[saga]
2021/08/28(土) 23:31:25.82 ID:mauixQKk0
京太郎たちの乗ったゴンドラは、頂点へとたどり着く
椅子に隣同士で座る京太郎と良子の二人
指を絡めてしっかりと手を握る。二度と離さないと言うように
「ようやく、見れましたねー景色」
「……でも、ドキドキしすぎてそれどころではありませんけど」
そんな言葉に、京太郎の頬がほんのりと染まる
繋いでいる手の力を少し強めつつ、抗議するように良子の顔を見る
しかし、いたずらっぽく笑う彼女を見て笑みを浮かべつつ再び景色に視線を移す
二人の視界に映る夕焼け空と街
「あそこらへんですね、京太郎と出会った交差点」
「それで、あそこらへんですか、良子さんの泊まっているホテル」
「……なんか、変なこと思い出してません?」
「へっ!? な、なにが!?」
下って行くゴンドラ
ゆっくりと過ごせるこの半周、心の余裕に二人が笑顔を浮かべながら会話を弾ませる
地上へとゆっくりと降りて行き、今度こそしっかりとゴンドラの扉が開く
「楽しんでいただきましたか〜! お気をつけて!」
先に降りた京太郎が、良子の手を取りそっと降りるのをエスコートする
両足で地に足をつける良子、そして京太郎
二人で顔を見合わせて笑みを浮かべると歩き出す
ただ帰るだけの道。だが特別なお互いの帰るべき場所へと―――
「良子さん、帰りましょ」
「はいマイダーリン♪」
―――向かうべき場所、帰るべき場所はただ、一つ
「……てかダーリンってさすがに恥ずかしくないっすか?」
「う゛っ」
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