40: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/11/19(日) 23:15:08.92 ID:TIWNuS4m0
「………ワッハッハッハッハッ!アースジェットで深海棲艦退治か!そりゃあいい!!」
割れ鐘のような笑い声を上げたのは、それまで会議に参加しながら沈黙していた県一等陸尉だった。よほどツボだったのか、彼はヒグマのように大きな身体を折り曲げてヒーヒーと苦しげに呼吸音を漏らす。
「確かに奴等は人類にとって害虫のような存在ですが、だからといって“じゃあ本当に殺虫剤を使おう”というのは例えジョークでも陸自の凝り固まった頭では思いつけない!なかなか、艦娘のお嬢さんは柔軟な発想をお持ちだ!」
「そういえば、県一尉はこの鎮守府に来て日が浅かったですな」
そういいつつ、石田一尉も顔を片手で覆いこみ上げる笑いに必死にあらがっていた。相当な無理をして衝動を抑え込んでいるらしく、彼のがっしりとした肩は小刻みに震えていた。
「彼女らは我が鎮守府屈指の実力者だが、同時に艦娘の中でも指折り数えられるレベルの名漫才コンビだ。この二人が退役したら、私は吉本に紹介状を書くつもりです」
「ちょっ、やめてよ石田さん。同僚の名前すら間違える鳥頭な奴とコンビなんて冗談じゃない」
「そーよそーよ。こんなゴーストライター使ってたエセ作曲家とコンビなんてこっちから願い下げよ」
「佐村河内引っ張りすぎだろ七面鳥」
(*´Д`)「ブフッ」
「ヒッヒッヒッ……!」
なおも続けられた二人の漫才に、僕と龍驤さんも耐えきれずに決壊する。特に龍驤さんはかなり耐えていたようで、机に突っ伏したまましばらく顔を上げられなくなってしまった。
「………」
「うぅ、提督まで……」
勿論、全員がもれなく笑顔になったわけではない。榛名さんは僕まで笑い始めたことにオロオロしているし、生真面目な小栗三佐は「苦虫を噛み潰したような表情」の標本にしたくなる顔つきをしている。
それでも、明日にも起きるかも知れない世界規模の惨劇にただただ打ちのめされていたついさっきまでよりは遙かにマシな顔色だ。
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