( ´Д`)離れ小島の提督さんのようです
1- 20
37: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/11/19(日) 23:05:30.85 ID:TIWNuS4m0
「現在戦力増強の兆候が把握されている海域全てで、第二次マレー沖海戦と同規模の敵艦隊が一挙に攻勢を開始した場合の予想される攻撃経路です」

「絶望的な絵面やな」

花火が上がる隅田川の夜空か、はたまた蜘蛛の巣が張り巡らされた古い屋敷の天井か。

輸送型の目撃地点を示す幾つかの黒点から様々な方向に伸びる矢印が、世界中の海を覆い尽くしている。

「ヨーロッパ方面での陸上拠点の確保によって、深海棲艦側はかなりの海中戦力を世界中に再配備することが出来るようになったと思われます。過去に敵が行ってきた攻勢の規模や頻度を考えれば、この攻勢も最悪どころか十分にあり得る未来予想図ではないかと司令府は推測しているようです」

「そんな物量で押し寄せられたら、どう考えても人類側の海上防衛網が耐えられないよね?」

川内さんの問いに、榛名さんは答える前に一度喉を鳴らして生唾を飲み下した。

「………横須賀司令府の計算では、もし敵の攻勢がこの規模で実施された場合アフリカの西海岸、南アメリカの東海岸は少なくともほぼ全域で上陸を許すと」

鉛のような重い空気が、会議室に充満する。

もし司令府の予想通りに事が運べば、日本にとっても対岸の火事ではすまない。大局的な意味でもそうだが、直接的には北太平洋とフィリピン海の点から伸びた矢印は何本かが日本を標的にしているのだから。

この内後者の矢印が向かう先は、我らが青ヶ島鎮守府をはじめとする伊豆・小笠原諸島だ。

「……フィリピン海では輸送型の往来は確認されていなかったようだが」

「はい。ですがオーストラリア、マレーシア、そして在フィリピン米軍の偵察機が近海飛行中に相次いで連絡を絶っています。まだ各国民には隠蔽されていますが、ここ二週間で消息不明機は計8機にのぼります」

「………」

小栗三佐の揚げ足取りに近い質問は、或いは情報の信憑性にケチを付けて「何かの間違い」という可能性を少しでも見出したかったのかも知れない。

だがその試みは失敗に終わり、漂う深刻さだけが増す形となった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
130Res/128.40 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice