神谷奈緒「ステップバイステップ」
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8: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2017/11/16(木) 01:02:10.52 ID:4TBLGcT+0



廊下を進むほどに、シューズと床の摩擦によって生じる音が大きく聞こえる。

丁度一年前、体育館でよく耳にしていたあの音。きゅっという音だ。

その音が大きくなるにつれて、何故だか身が引き締まるような気がする。

やがてルームの前に到着して、音が止むのを見計らってプロデューサーと一緒におずおずと入る。

瞬間、怒号を聞いた。

「もう終わりか!」

鬼のような形相でそんなようなことを叫ぶトレーナーと思われる人と、汗だくで座り込む女の子。

ああ、ああ、大変なところに来てしまった。

逃げ出したくなる気持ちを必死で抑えて、会釈をした。

二人はあたしとプロデューサーなんか気にも留めないで、レッスンを再開する。

曲が始まり、それに合わせて女の子が動く、その一挙手一投足にトレーナーの人が指示を飛ばす。

「指先に意識がいってない!」

あたしが言われてるわけじゃないのに、直視できなかった。

そんなレッスン風景をしばらく眺めたあと、プロデューサーが「そろそろ行きましょうか」と言うので、それに従ってスタジオを出た。



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