3:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 18:34:17.76 ID:AW4FyFFm0
中野有香はカワイイを求めている。アイドルをしているのもそのためだ。
同時に中野有香は強さを求めている。空手を学んでいるのもそのためだ。
最近はようやくカワイイにベクトルが向いてくれたと思っていたのだが、強さを追求することも忘れてはいないらしい。
走り込みや鍛錬も欠かさず続けているし、正座でもって小一時間黙想する姿を見たこともある。
なんと腹筋も六つに割れているとの噂だ。俺は見せてもらったことがない。ぜひ見たい。
要するに彼女は強さに敏感で、いつでも強くあろうと努力している。
そんな彼女の隣にいる男が結構な"使い手"だと知ったらどんな行動にでるか。察するにあまりある。
だからこそ俺は今まで自分の出自をひた隠しにしてきたし、隠したままとんずらを決め込んでいた。
こうなることは火を見るより明らかだから。
そのままカワイイだけを追い続けてくれてたら、俺も気持ちよく引き継ぎできたのに。
アイドルに強さはそれほど必要ないのではと思う。なんとかカワイイ方面で行ってほしい。
彼女があさっての方向を向いたまま辞めなくてはならないのが、最後の心残りではある。
辞めなきゃいいじゃん。そうかもしれない。
しかし、このままでは彼女たちを、なにより有香の身を危険に晒すことになる。
その前に俺自身が身を引いて、なすべきことをなさねばならないのだ。
結局、ここも俺の居場所ではなかったということなのだろう。
もう何年もプロデューサーをしてきて、有香もそれなりに有名になり、
アイドルとしての地位も確立した。先に話したこと以外に未練はない、はず。
「お願いします! 少しだけでいいんです!」
とはいえ俺も一人の人間であり、今はまだ彼女のプロデューサーでもある。
だからこんな顔されたら。
ちょっと。
断りにくい。
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