29:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 19:27:26.57 ID:AW4FyFFm0
「無様だな」
悪役っぽいセリフ。普段の声は結構高い。
丸眼鏡が訥々としゃべり始める。大勢は決したという様子だ。
事実、俺は未だに勁を整えることができないでいた。
体全体が目眩しているようにぐわんぐわんする。頭が揺れて気持ち悪い。
「もう少し歯ごたえがあると踏んでいたが」
悪役のセリフやめてほしい。お前バイキルトかけてただろ。
それにしても、歯ごたえがあるとはどこかで俺の噂でも聞いていたのか。
「"孤龍戴天"が聞いて呆れるな」
おああ。
狭いコミュニティ内でしか通じない二つ名で呼ぶんじゃねえ。
昔ネトゲしてた時につけたハンドルネーム思い出して死にたくなるだろ。
俺の叫びは声にならない。
くそ、まだ間に合う。勁を練れ。
ふん、と丸眼鏡が鼻をならして身を屈めてきた。一挙に距離を詰めてくる。
ふり仰げば視線の先には俺の顎。そして天。次の瞬間。
俺も天を仰ぐことになった。
薄れゆく意識の中で、最後に俺が見たものは、
きらめく星々の大海などでは決して無く。
ステージの上で、スポットライトを浴びる彼女の姿だった。
有、香――。
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