25:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 19:19:58.74 ID:AW4FyFFm0
"天青仰掌"。
"曇天看破"。
"霖天翻身"。
"雷天脱兎"。
これらは"流天十勁"が有する奥義の一部でしかない。
有香にも教えていない本当に重要な技が一つ残っている。
それが練勁の絶技、"万天響命(ばんてんきょうめい)"だ。
この世の全ての事象そして万物には勁があり、それらは常に絶えることなく流動している。
一見すると永久不変に見えるこの空も、火も土も、木も水も、実はその内部では激しい伏流が渦巻いているのである。
平衡状態にある物質の中でも、実際のところ化学反応はちゃんと起こっていて、
その正逆の反応速度が一致しているから見かけ上何も変わっていないように見えるというそういう話だ。
"万天響命"は万物の脈動を感じ取り、体内に取り込んで響かせるという最大の絶技なのだ。
これを使うと術者は一時的にではあるが爆発的な勁力を得ることができる。
つまりはバフ技である。言い換えればチャージである。
ありていにいってしまえばバイキルトである。バイキルトは大事だ。
由来、由来なんて言ってる場合じゃない。
俺の眼下、すぐ下で鋭い殺気を放つ丸眼鏡。
そいつの外勁がびりびりと肌に突き刺ささってきた。
明らかに初対面の時よりも増している。二倍、いや三倍かもしれない。
体内にとりこめない分の勁が溢れ出て、あたかもドライアイスのように周囲に広がっていく。
背筋がひやりと寒くなる。
こいつ。
"万天響命"を。
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