15:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 18:59:58.53 ID:AW4FyFFm0
事務所の中庭には噴水があって、その中心にはマーライオンを模した彫像が立っている。
マーライオンの身長はざっと二メートルってところだろうか。練習にはちょうどいい高さだ。
まずはお手本から。
俺は呼吸を整えて足裏に内勁を集中させた。大地をめぐる勁が踵を伝って流れ込んでくる。
ふーっと息を吐いて、跳ね板を蹴るようにばんっと地面を踏み切った。
有香がいるので震脚はなしだ。ただジャンプするだけに留める。
ふわりと体が浮きあがり、体操選手のように中空で一回転する。
勢いを殺しつつそのままマーライオンの頭上に着地した。
「すごい、すごいですっ!」
有香の反応はどこまでも素直だ。
再び勁を込めて跳躍し、彼女の元に戻ってくる。すとんと軽い音がする。
だいたいこんな感じである。はいどうぞ。
「えっ?」
やってみよう。
「あ、あの」
有香は噴水を見つめて何か言いたげにしている。何が言いたいかはわかる。
失敗したらどうなるの? ということだろう。
俺はバッグの中から大きなバスタオルを取り出した。
手を左右に振って、心配無用のジャスチャーを送る。
「……え?」
体操服はナイスチョイスだった。
着替えもあるだろうし問題ないだろう。
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