モバP「中野有香と怪しい武術プロデューサー」
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10:名無しNIPPER[saga]
2017/11/13(月) 18:48:38.08 ID:AW4FyFFm0

「なんですか? これ」

もうお気づきのように"流天十勁"は天候になぞらえた技をもつ。
天の向きをとらえ、気象の奔流に身を任せ勁を放つ。この流派の基礎である。

曰く"天青仰掌"。曰く"霖天翻身"。これから見せる技もその一つだ。

俺は有香にピンポン球を投げるようにと指示した。
彼女はなんだかわからないといった様子で首を傾げていたが、
やがてボウルから一つ球をつまみ上げると俺に向かって振りかぶり――。まったまった。

そうじゃない。

一斉にぶちまけてほしい。

「こ、これ全部ですか?」

俺は"戴天"の構えをとった。
久しぶりなのでうまく行くかわからない。

大きく息を吸って腰を落とす。勁をその身に練り込ませる。

彼女はピンポン球と俺とを交互に見ていたが、やがてためらいがちにボウルを振りかぶった。
柄杓から打ち水が蒔かれるように、ピンポン球が雨あられと飛んでくる。

「えいっ」

えいってかわいい。



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