16:名無しNIPPER[saga]
2017/11/12(日) 21:29:39.46 ID:PAb0ZZtSo
言え。私、言ってしまえ。
ここで言えてこそのデキる淑女。いけ、この流れならいけます。
いける――ハズ!
「私が今まで見てきたどんな人よりもステキですよ」
き、決まったァ!決まりましたっ!
私の容姿の余りある欠陥を補っての淑女台詞。になると信じてます。……信じていいですよね?
「そうかぁ」
プロデューサーは微笑を浮かべて、立ち上がる。
そしてゆっくりと窓際まで歩を進め、窓を開け放つ。
強い風が吹いた。
ばさばさ、と部屋の中に吹き込んできた風がデスクの上の書類を数枚攫う。
私の頬にどこからか飛んできた水滴が当たる感触。
そちらへ視線を向けるとプロデューサーが事務所ビルの窓枠に足を掛けた状態で涙を流していた。
「ごめん、ごめん……。向こうの響子。こんな全身”R-15G”みたなヤツと根気よく向き合っててくれたんだなぁ」
……なんということでしょう。
私のデキる女アピールにより、恩人にして、誰より愛する彼が一瞬で自死一歩手前に。
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