6:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:14:52.23 ID:/E20kLoAo
喧嘩らしい。いまは口論に留まっているが、一触即発の事態だという。
私は焦った。どうも、長い休みのあとで、すっかり平和ボケしてしまったようだ。
「それで、誰が喧嘩を?」
7:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:20:01.27 ID:/E20kLoAo
どうやら、すでに一触即発の状態は脱してしまったらしい。
推察するに、ありすが男子を言い負かした、ということだろう。
二人の衣服に乱れはなく、机がぶっ倒れていたり、なにかがひっくり返ったりしているわけでもない。
とりあえず、掴み合いに発展しなかっただけよかった――私はホッとため息をついた。
8:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:21:59.72 ID:/E20kLoAo
「喧嘩じゃありませんよ、先生」と、ありすは言った。
それはあまりにきっぱりとした言い方で、私はついつい面食らってしまった。
「ちげーよ! こいつが泣かせたんだよ!」
9:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:23:24.95 ID:/E20kLoAo
「それで、なにがあって喧嘩したの?」
「喧嘩じゃありません」
ありすはまたピシャリと言った。
10:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:25:05.45 ID:/E20kLoAo
ことの発端は橘ありすの持っているタブレット端末だった。
放課後、タブレットを操作するありすを、彼が咎めた。
規則上、タブレットは学校に持ってきてはいけないものだ。
そうして、口論に発展したそうだ。
11:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:25:58.67 ID:/E20kLoAo
「え、ああ、……ごめんね。それで、橘さんは?」
「話に嘘はありません。だけど、先につっかかってきたのは向こうです」
ありすの言い方に、私は思わず苦笑してしまった。
12:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:28:26.65 ID:/E20kLoAo
「きちんと話してくれてありがとう。先生も一生懸命、このことを考えるからね」
そう言って、私は彼を先に帰してやったが、ありすはそれに不満を募らせている様子だった。
「決着がまだついてません」
13:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:29:34.87 ID:/E20kLoAo
「私が悪いんですか? 私が悪者だから、あの子を先に帰らせて、じっくりお説教っていうことなんですか?」
「ううん、そういうことじゃなくて、いろいろ聞きたいのね、先生。
……橘さんは、いつからタブレットを持ってきていたの?」
14:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:30:50.47 ID:/E20kLoAo
私はそれを聞いて困った。
確かに、連絡手段としてのスマホ、携帯電話は黙認に近い形で見逃されている。
小学生とはいえ、いまどき珍しくない。が、タブレット端末となると、ちょっと微妙なラインだろうか。
なにしろ、大きい。畢竟、目立ってしまうから、今日のように(良く言えば)正義感のある子を刺激してしまう。
15:名無しNIPPER[sage]
2017/11/09(木) 12:32:47.80 ID:gx0aw+sAo
それスマホでも同じこといえますよね?
16:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 12:43:20.29 ID:/E20kLoAo
「今日は、すこし遅くなるからって連絡をしたんです。ただそれだけですよ」
「うん。ありすちゃんの使い方に悪いところはないって、先生も思う」
「そうですよね」と、ありすはホッとしたようだった。
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