志希「フレちゃんからレズビアンって告白された話」
↓ 1- 覧 板 20
2: ◆/lpmBFi8Qc[saga]
2017/11/07(火) 00:49:18.55 ID:B9dyB2410
フレちゃんの唐突なカミングアウトに面食らったあたしは、とりあえずとりあえずのこーてーてき意見を述べた(わーおそーなんだー♪ 末永くお幸せに、ってあたしもお空もたぶんサンドイッチも応援してるよー! フレーフレーフレちゃんーって、あ、一口食べる?)あとにそれ以上言えることがなくなってフレちゃんの語りの聞き役に徹することにした。
フレちゃんは言った。
「アタシね〜女の子だけど女の子が好きなんだー」「小学生のときにアタシってなんかみんなと違うなーって気づいたんだけど〜」「まーフレちゃんハーフだし今更かなーって」「でもフレちゃんがハーフなのと女の子が好きなのはどーも話が違うみたいで」「ねえシキちゃん」「『おかしい』って『みんなと違う』って意味じゃないよね?」「『普通』って『みんなと同じ』ってわけじゃないよね?」「んー、なんて言うかねー……」「アタシにはよくわかんないや」「え?」「……うん、うん」「ありがとー」「やっぱりシキちゃんはアタシのしんゆーだね☆」フレちゃんは露骨ではないにせよ明らかな安堵の表情を見せて今度こそ笑った。「シキちゃんに話せてよかった」そーかそーか。
そんなこんなであたしはどうやらフレちゃんに何か言葉をかけたみたいなんだけど正直なんて言ったのかはさっぱり覚えていない。そのときはとにかく驚きでいっぱいいっぱいだった上、平常を取り繕うのに必死だったから。
でも……考えてみればあたしはどーしてこんなにも驚いているのだろう。親友が同性愛者だったからといって、どこに驚く要素があるんだろうか。だってそんなのは大したことじゃない。たとえば日本にはカレーが好きな人間が多いけれど、中には当然カレーが嫌いな人間だっている。だからといってカレーを嫌うのは全然おかしなことじゃないだろう。言ってしまえばフレちゃんはたまたまカレーが嫌いなだけだったのだ。本当にその程度のことであって。カレーが嫌いだからっていちいち驚く方が変でしょ?
いやこないだフレちゃんと二人でカレー食べに行ったときめっちゃ美味しそうにしてたけどそういう話ではなく。
単に性的に多数派じゃなかっただけなんだよ、フレちゃんは。ビアンカ派でなくフローラ派だった。宮崎駿の映画よりも押井守の映画の方が面白く感じた。たけのこよりきのこが好きだった。ただそれだけのことで、罪はない。
同性愛は異性愛と同等に自然なものとされるべきはずで。
――なのにあたしは、どうしてその自然なはずの同性愛者を目の当たりにして驚いているのだろうか? どうして驚愕を必死に飲み込もうとしているのだろうか?
いったい何がおかしいというのだろうか?
51Res/25.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20