243:名無しNIPPER[saga]
2017/12/12(火) 03:05:27.83 ID:sLz/PBVL0
それから少し遊園地の飾りつけを見て回り、気が付いたら観覧車に並ぶ良い時間となっていた。
係員の方に整理券を渡して、優先列に並ぶ。
ものの十分と待つ事も無く、ゴンドラに乗り込むことができた。
ゆっくりと頂上に上がるそれは、人工的に色づいた夜光を置き去りにしていく。
私の足元には、先ほどまで見上げていたイルミネーション。
気付けば燭光のように小さくなっていた。
空が近づいているのだろうが、夜闇ではどの程度まで高くなっているのか分からない。
ふと、夜の黒に白色が紛れてくる。
あまりに綺麗な真白だったので、星が落ちて来たのかと思った。
よくよく目を凝らしてみると、どうやら雪が降り始めたようだ。
牡丹雪のようで、一粒一粒が大きい。明日は積もるかも知れない。
「綺麗ですね、お兄さん」
「うん。まさかのホワイトクリスマスになったね」
そう言いながら、お兄さんは鞄の中を漁り始めた。
そして少しの間を空けたあと、ラッピングされた何某を私に手渡してくる。
「メリークリスマス、サンディ。サンタさんからのプレゼントだよ」
「あ、ありがとう、ございます……!」
私はそれをおずおずと手に取る。
薄手ながらに固い感触のするそれは、CDケースのようだった。
「家に帰ったら空けてね。サンタとの約束だよ」
ふぉっふぉっふぉ、とでお兄さんは笑いながら、
生えていない白鬚を触るような仕草でそう告げる。
私はコクコクと頷くので精一杯だった。
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