240:名無しNIPPER[saga]
2017/12/12(火) 02:19:48.26 ID:sLz/PBVL0
そのままお兄さんのいた景色を置き去りにして、回転木馬はのんびり回る。
そして二周目、再びお兄さんの待っている景色へ。
「サンディ、こっち向いて!」
言葉のまま彼の方を向いて手を振ると、パシャリと彼の携帯電話で写真を撮られた。
ちょっぴり気恥ずかしさを残しながら三周目。
次はいつの間に持っていたのか本格的なカメラを向けて私を待ち構えていた。
パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。連続したシャッター音が聞こえてくる。
お兄さんは周りの人の注目を浴びているのに気づいていないのかも知れない。
流石にもう撮られる事は無いと思っていた四周目。
録画状態のハンディカムを持って、キラリと光る大きなレンズを私に向けていた。
「可愛いよ、サンディ! 手を振って、ほらほら!」
周りの人はお兄さんの大きな声に驚いていて、必然的に私も注目を浴びることに。
顔から火が出そうだ。でも、お兄さんの要望には応えたい。
作り物の白馬のうなじに顔をうずめながら、ぱたぱたと頑張って手だけは振ってみる。
後の周回は、お兄さんの待ち構える付近になったらポールを抱きしめて
恥ずかしさで死にそうになっている様をビデオカメラで撮られ続けていた。
メリーゴーラウンドから降りたあと、私は一目散にお兄さんの元へと駆け出した。
そして何故か満足げな顔をした彼の背中に回り込み、ぽかぽかと軽く叩いてみる。
恥ずかしかったけれど、楽しかったのもまた事実。
なので、これは私なりの照れ隠しと抗議の合わせ技だ。
次の乗り物は一緒に乗ろう。そう決めるのには充分な出来事だった。
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