239:名無しNIPPER[saga]
2017/12/12(火) 02:14:53.76 ID:sLz/PBVL0
お兄さんが熟考をして出した結論は、
『とりあえず空いているアトラクションを端から回ろう』という内容だった。
ただ、観覧車にはとりあえず乗っておきたいという彼の要望で、
一番最初に観覧車の整理券をもらい、順番が巡ってくる二時間後までは別所を巡る段取りに。
そして今、私はメリーゴーラウンドという乗り物の順番待ちをしていた。
曰く「年を取った男は乗れないもの」だそうだ。
なのでお兄さんは外で待機して、私が乗る様を楽しむとの事。
改めて一緒に並んでいる子を見ると、小さい子ばかり。私が最年長のような気がしなくもない。
順番が回ってきて係員の方から案内をされる。
馬を模倣した乗り物に跨るように言われ、言葉のままに乗ってみる。
そのまま手すりのポールを離さないでという注意喚起を告げられたかと思うと
途端にファンシーな音楽が流れ始めた。
「えっ、えっ、えっ……!?」
あたふたしながらポールをギュッと抱きかかえる。
そして地面と乗り物が動き始めた。
地面は地球の自転のように回り、それに呼応するように馬は上下に動いている。
ちょっと楽しい。
周りの風景は緩やかに移行して、遊園地の煌びやかなイルミネーションを楽しめる様になっていた。
そんな幻想的な風景を楽しんでいると、ふと何か呼びかけられたような気がする。
「おーい、サンディー! こっちこっちー!」
お兄さんがアトラクションの外側で、手を振りながら迎えてくれる。
なんとなく気恥ずかしいけれど、少し浮かれた私はおずおずと手を振り返してみた。
お姫様みたいでなんだか照れてしまう。
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