223:名無しNIPPER
2017/12/05(火) 16:52:38.62 ID:uO7JY89I0
【幕間】
「私も早く大人になって、泣き虫を治したいです」
料理を教えているときにサンディがふと呟いた。
よくよく見てみると、大きな目からポロポロと雫が頬へ垂れている。
今日のメニューはカレーライスだ。
玉ねぎを刻むのが不慣れなら、そりゃ涙も出るさ。
そう伝えながら、手元のキッチンペーパーをティッシュ代わりにして
涙を拭うついでに鼻水も噛ませてみる。
「え゛う゛、ごべんなしゃい……」
鼻を噛んでるときに喋るものだから、なんとも間の抜けた可愛い声が漏れた。
彼女もちょっと恥ずかしかったようで、耳を赤くして俯いてしまう。
しばしそのまま立ちすくんだかと思うと、ふるふると頭を振って再び玉ねぎと格闘を始めた。
傍から見ずとも微笑ましい光景だと思う。
しかして、さっきの台詞は本心なのだろう。
それについてはサンディが大人になる前に訂正をしなければならないな。
“私も早く大人になって、泣き虫を治したいです”
大人は泣かなくなるんじゃない。
隠れて泣くのが上手になるんだよ。
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