21:名無しNIPPER[saga]
2017/11/07(火) 06:48:30.54 ID:lfj9bXFJ0
否、断じて否。
部屋の散らかりは心の散らかり。美しい場所でこそ凛とした育ての場に相応しい。
元から性根の腐っている自分ならまだしも、これは子どもを預かる環境としてはあまりに不適切。
「サンディ。もしかしなくて、今日から早速一緒に住むって事でいいのかな?」
「は、はい。ご迷惑でしたら、適当に野宿をしながらでも生きていきますので……」
彼女の目じりに涙が一気に溜まる。
人に泣かれる事なぞ滅多にないので、ついあわあわと狼狽してしまう。
「いやいや、違う違う。もしそうだったら、ちょっとお願い事があってね」
「あ、しょ、承知いたしました。私に何なりとお申し付けください」
サンディは目元の涙を腕でごしごしと拭った後、スカートの端を軽くつまんでお辞儀をしてくる。
なんとも優雅な身のこなしだ。堂に入っている事が妙に胸をざわつかせるが、それは現状まぁ置いといて。
はい、どうぞと。彼女の両手にそれぞれハタキと空のバケツを持たせる。
そしてそのまま玄関先に向かい、OPEN札を裏返しておく。今日は早々に店じまいだ。
「……部屋の片づけ、一緒にやってもらってもいいかい?」
「お任せください。謹んでお受け致します」
普段から綺麗にしておかないから別嬪さんに迷惑かけるんだよ、と。
今は亡き母が空から怒っているような幻聴がした。
うむ、ごもっとも。
この情けない現状は自分だって心苦しいし恥ずかしいのだ。
とりあえずは、えっちな本だけ先に片付けておくことにしよう。
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