171:名無しNIPPER[saga]
2017/11/16(木) 02:33:23.37 ID:qrdjbAqX0
サンディがタルトを食べ終えるまでの間に、コーヒーをおかわりしてみた。
手慣れた手付きで彼はモカマタリを注いでくれる。
ふと、ポツリと僕だけに聞こえるように訊ねてきた。
「まだ、見つかんねぇのか」
「うん」
「そうか、早く手がかりが掴めればいいな」
「ありがとう」
そう言って、僕は手元のモカを一啜り。深みのあるコクがたまらない。
マスターは僕らに背中を向けて、食器洗いと仕込みの作業に戻った。
ふとテーブル奥にある時計に目を向けると、割といい時間になっていた。つい長居をしてしまったようだ。
サンディもタルトを食べ終えて、ホッと一息ついている。
もう少し味わいたかったが、そろそろ腰をあげるとするか。
まだ冷め切っていないコーヒーを飲み干して、勘定を済ませる事に。
「また来いよ」
帰り際、彼のバリトンボイスが耳に響く。
これからも二人でちょくちょく来るよ、と返事を返す。彼は破顔一笑、いつでも来いと言ってくれた。
サンディも強面には慣れたらしく、ドアから出る前に彼へ手を振っていた。
また美味しいものが食べたくなったり、落ち着きたくなったら、この喫茶店に通うことになるだろう。
マスター、今後ともご贔屓にさせてもらいます。ご健勝で。
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