盗賊「勇者様!もう勘弁なりません!」
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150: ◆CItYBDS.l2[saga]
2017/12/29(金) 18:59:13.81 ID:NbpFE6EO0


バアンっ!

大きな破裂音が、議場内に響いた

勇者が拳を振り下ろし、演台を平手で叩いたのだ

その衝撃で、演台に置かれていた水差しが倒れ勇者の手のひらにかかる


勇者「皆様、奏上中にございます!お静かに願います!」


議員たちの反応は、勇者の予想以上に良いものであった

いままで、魔族との戦いで人々の注目を浴びてきた勇者にとって

剣を抜くことなく、弁論を以てしての称賛は初めての事である


勇者(ああ、普段偉そうにしている議員連中がこんなにも畏まってる・・・)


勇者(こんなに気持ちの良いことは初めてだ!)


勇者は、これまで感じることが無かった優越感に浸り

奏上を続けるべく、その拳に書き込まれたカンペをみつめた


勇者「」


そこに奏上文は無く、代わりに滲んだインクがまるで汗のようにヒラリと流れ落ちた


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