149: ◆CItYBDS.l2[saga]
2017/12/29(金) 18:58:47.45 ID:NbpFE6EO0
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議場中央の演台に、勇者が立つ
その眼には、熱い使命感と高揚感がやどっている
勇者「私、勇者はおよそ一年前主命を以てして魔王討伐の旅えと赴きました」
勇者「そして先日、遂に魔王城に到達、魔族の長にして魔王城の城主である魔王に対峙致しまして候」
勇者「我ら勇者一行は、意気軒高その戦意高くして魔王との一戦を願い出るも魔王からは対話の申し出があり」
勇者「最期の言葉、陛下にお伝えすることもあらんと申し出を受け入れたところでございます」
勇者「然れども、まことに残念なことに魔王から語られた事実はわたくし共が把握していた事態とは大いに齟齬がございました」
勇者「その結果、悪しき者討たんとする我ら勇者一行の戦意は大いにそがれることととなりまして候」
勇者「まず、この国の北部及び東部における魔族と地方都市との戦況におかれましては、敵軍の指示系統に魔王軍が関与していない事実がございました」
勇者「魔王軍は、我ら人類と同等程度の知識を有しており軍事組織としての体を十分に為すものでございます」
勇者「されど地方都市における魔族による侵略の様相をきくに、戦略性乏しく、とても知性あるものの戦い方ではございませんでした」
勇者「また、こちらにおわす議員の皆様方もご存知の通り、我が王都において魔族は一労働力として受け入れがなされており」
勇者「その危険性の低さは、すでに王都内にて認識がなされていることは事実でございましょう」
勇者「そのような認識を我らに知らせることなく魔王討伐の主命を下された事実、甚だ遺憾にて候」
勇者「我ら勇者一行は、軍隊に非ず。暗殺者に非ず。人々の希望となるべき、一筋の光にございます」
勇者「なれば我ら勇者が為すべきことは、人民に広まる魔族に対する認識を改め。知性ある者同士、友誼を交わしたることと信じ」
勇者「我ら、魔王と和解するに至ったところにございます」
「なんと、あれが噂の勇者様か・・・」
「地方での戦闘が、魔王軍の指示ではないだと・・・?王国の利益のために、隠蔽されていたということか」
「あの勇者様の凛々しく、堂々とした様を見てみろ。あれこそが人類の希望か」
戦士(おおっ、議員たちが勇者の言葉に耳を傾けているぞ)
僧侶(あたりまえです。あれこそが真の勇者様の姿!)
魔法使い(本当に奏上文を暗記できていたのね)
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